バランスを取れば、どうしてタイヤの寿命が延びて燃費が改善するのか?
重心が回転軸からズレている物体を回転させると、ズレとスピードに応じて振動が発生します。
つまり、ブレます。この原理を利用している身近な例が、携帯電話のマナーモードのバイブ機能です。
これは、意図的にブレさせています。
フードコートで料理等の出来上がりを教えてくれるブザーも同じ原理でブルっています。
タイヤやホイルは真ん丸ではなく、重さにも偏りがあるので、バランスを調整しないまま走れば、つまり回転させれば、必ず振動します。
しかし最近はサスペンション系が進化したお陰で、タイヤが多少振動していても、その振動がハンドルまで伝わることがなくなっているようです。そのために「タイヤの振動は無くなった。だからバランスを取る必要はない。」と思っている方が多くおられるようです。でも、今でもタイヤは振動しています。
振動の発生には、ヘビースポットと呼ばれる重たい部分が影響しています。
ヘビースポットでは遠心力が大きくなるため、その部分が外側に膨れ、路面にぶつかる時の衝撃も大きくなります。
問題は、その衝撃が一度で終わらないことです。ゴムという弾力性のある原料でできているタイヤは、衝撃を受けるとそれが波のようにタイヤ全体に伝わり、イラストのように次々と路面に激しくぶつかるスポットが発生してしまいます。
その結果、最終的にはタイヤ全体の摩耗が促進されてしまいます。
バランスを調整していないタイヤでも均等に摩耗していれば、問題がないと判断されているようですが、
実は“無駄に摩耗している”ことが見落とされています。
しかしバランスを調整すれば、タイヤはスムーズに回転し、ヘビースポットが激しく路面にぶつかることが無くなるので、タイヤの摩耗が軽減され、寿命が延びます。欧米では25~30%延びたとの実証事例が報告されています。
これがタイヤの寿命が延びる理由です。バランスを取ると、ヘビースポットが激しく路面にぶつかることが無くなります。その結果、“無駄に失われていたエネルギー”が、推進力に活かされるので燃費の改善にも繋がるというわけです。